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綿引勝美の平田弘史先生回想記(Vol.20)

『剣聖永久に去らず』
 昭和34(1959)年、デビューから2年目の平田弘史の作品に『剣聖永久(とわ)に去らず』がある。「魔像別冊 実録武芸帳」(日の丸文庫)に描き下ろした60ページの読み切りである。
 剣聖といえば、剣のみでなく人的にも優れた剣豪ということになる。平田は「遠くは上泉信綱、近くは男谷信友の二人に誰しもが指を屈する」として、『剣聖永久に去らず』で上泉信綱の生涯を描いている。ちなみに、男谷信友については、昭和40(1965)年に「士魂物語15」として『オタニ伝』を発表した。
 さて『剣聖永久に去らず』だが、平田は物語を始める前に「剣豪名人達人武芸者一覧録」なる解説ページを8ページにわたって描く。昭和30年代といえば、漫画・劇画の読者の剣豪についての知識は皆無といってもよかった(第二次世界大戦後、日本に進駐して来た連合軍によってチャンバラ映画など好戦的なものは禁止されていた)。もちろん、有名な剣豪のエピソードなども知られていない。そこで「中條流の部」、「一刀流の部」の説明とともに、幕末までに登場した流派と剣豪を紹介することで、上泉信綱の生涯を描く一助としたのである。
 佐々木小次郎、宮本武蔵から幕末の剣士、千葉周作、男谷精一郎らまで、ひとりひとりをエピソードをあげて説明する平田。天理図書館での猛勉強が支えているページだが、この一覧は後に「近世剣豪名勝負」シリーズに結実している。
 物語は上泉信綱(初期は秀綱)が客将として随身していた長野家の箕輪城が武田信玄に襲われたところから始まる。箕輪城裏門の主将として奮戦する信綱。城主自害の後、信綱の武名を惜しんだ信玄に降伏を勧められる。裏門を守る武将、兵らの助命を条件に下った信綱は、信玄への臣従を固辞して兵法修行の旅へ出る。そして、柳生庄へ但馬守宗厳を訪ねた信綱は、彼を裏切り者として狙う箕輪城城主・長野業盛の妻・松とそれを守る侍従・駒川太郎左衛門と雨中の対決をする。
 人口に膾炙されている上泉信綱のエピソードもプラスしながら、平田弘史独自の上泉観が描かれている1編。機会があれば復刻してみたいと思っている。
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▲『剣豪永久に去らず』が収録されている「魔像別冊 実録武芸帳」
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