FC2ブログ

記事一覧

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

綿引勝美の平田弘史先生回想記(Vol.21)

平田弘史の異色作『臆病者』を読む!

 平田弘史の昭和35(1960)年の作品に『臆病者』(「魔像31」)がある。血にまみれた129の首が夢に現れ、19晩も眠ることが出来ず、ついには突然死する山名甚八の苦悩が描かれる。
 甚八は19歳の折、黒田家先代主君が催した試胆会で試験官を刺殺してしまう。恐怖からの刺殺と、家中の武士たちから臆病者と軽蔑される甚八を庇った幼馴染みの井口兵助。兵助は家中の人気者。彼を嫉妬した甚八は朱槍を獲得すると宣言した。
 朱槍を持つには甲首を7つ以上取らなければならない。家中の嘲笑にも耐えた甚八は朝鮮への第二次征伐軍に加わり、一日で甲首8、他の首17を取って人々を驚かした。朱槍を得た甚八が8年間で得た首は129。「これ以上の首取りはごめんだ!」と苦悩する甚八の前に現れたのは、死神と彼の取った首級129だった…。
 平田弘史は甚八の不眠の苦しみを冒頭3ページに渡って描写する。アップで描かれる甚八の表情の変化、二重にも映じる蝋燭の揺れる灯を描写して、甚八の苦しみを読者に十分に感じさせている。
 悪夢といえば、平田はもう一作『おれたちは生き苦しいのだ』を描いている。「週刊少年キング」(少年画報社)の昭和46(1971)年の53号に発表。二作に共通する悪夢の恐怖。平田にとっての悪夢は締め切りの恐怖であるのかもしれない。
21

▲『臆病者』が収録されている「魔像 長編読み切り傑作31」(日の丸文庫)
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。